1.遺言書は作る必要ありますか?

昔は遺言書というと死期が近い方が作成されるイメージですが、
時代の変化と共に事前対策的な要素であったり、ご自身が相続手続きで苦労された経験から、作成される方が多くなってきております。
また現代社会は超高齢化社会になってきており、相続人が高齢者の場合も多くございます。
遺言を書くことによって、遺産分割のために成年後見人を選ばなくていいというメリットもございます。
遺言で何ができるか、どういう場合に遺言が必要かをご説明させていただきます。

2.遺言書でなにができますか?

遺言書を作成することで、ご自身が築き上げた財産を、遺言を作る人が残したい人に承継させることができます。
※遺留分に注意。
例えば、法律上の相続人でないお孫さんやお世話になった人、あるいは慈善団体等に財産を
残したい場合には、遺言書にその意思を残しておくことが必要です。
また、ご自身の介護を献身的にしてくれた子どもに財産の多くを残したいといった場合にも
遺言書を作成することでその希望を叶えることができます。
遺言書がないときは、相続人の全員の話し合いで財産を分けることになりますが、
遺言書があるとその話し合いは不要になりますので、争いの種を事前に防ぐことができます。

3.遺言書の種類を教えてください。

遺言書には大きく分けて二つのものがあります。
①公正証書遺言
⇒公証役場で公証人の先生が関与して作成するものです。
②自筆証書遺言
⇒ご自身が準備した紙に遺言を全文自署するものです。
※他に法律上の要件があり、それを備えていないと遺言書として効力がないので注意が必要です。

 

公正証書遺言 自筆証書遺言
メリット ・偽造や紛失の恐れがない(原本は公証役場で保管するため)
・証拠能力が高い(元裁判官等の公証人が作成に関与するため)
・家庭裁判所において検認不要。
・自筆できなくても作成することができる。
・費用が掛からない
・簡単に作れる
デメリット ・費用が掛かること
・遺言作成の際に証人が2名必要となるが、財産をもらう人や身内の方が証人になれない等の制限がある。
・作成方式に違反すると遺言書が無効となる可能性がある。
・遺言書の紛失や偽造の恐れがある。
・家庭裁判所において検認が必要となる。
・自筆でないと認められない。

4.遺言書を作る際に注意すべき点はありますか?

①注意すべき点として、遺留分という制度があります。

遺留分とは、法律上認められている最低限の相続分を言いますが、
相続人の生活を保障するためにあります。
具体的には、遺言で相続人でない人にすべてを相続させるとした場合、
相続人がその後の生活が立ち行かなくなってしまうので、
ある範囲の相続人には、遺留分が認められております。

②遺留分が認められている相続人とその範囲

①直系尊属のみが相続人の場合  相続分の3分の1
②上記以外の場合        相続分の2分の1
※①の具体例
相続人が子供の親であるときには、本来の相続分の1/3が遺留分として認められます。
※②の具体例
相続人が配偶者と子供であるときは、本来の相続分の1/2が遺留分として認められます。
※故人の兄弟姉妹には遺留分が認めらてません。

③遺留分に反する遺言は無効か?

遺留分に反する遺言も無効となるわけではありませんが
遺言を書かれた方がお亡くなり後、相続人が本来の相続分が全くない、又は遺留分に反している!
となったときに、財産を多くもらった人に返してくださいと請求することができます。
遺言は作る方の想いが一番大事なので、一概に遺留分に反する遺言は作らないというわけではなく
メリット、デメリットを含めて、ご説明させていただきます。

5.遺言書は書き換えることができますか?

遺言書は本人の意思でいつでも自由に書き換えることが可能です。
法律上、遺言書はお元気な内にしか書くことができません。
遺言を作成した後に、お気持ちやご事情が変わることもございます。
当事務所では、万が一の場合に備えて、お元気な内に遺言書を作成しておき、
お気持ちや事情が変わった際に遺言書を書き換えるということをお勧めしております。

6.実際に遺言書が必要な場合とは?

遺言書を必要とされる方の傾向としては

お子様のいないご夫婦(養子を含む)

⇒この場合、相続人は以下の順序で決まります。ご自身のご両親が…
健在の場合⇒配偶者とご両親
他界の場合⇒配偶者とご自身のご兄弟(ご兄弟死亡の場合は、その子供なので、甥姪です。)
配偶者が自分の親や兄弟と遺産を分ける話し合いをするのは心労かと存じます。
配偶者の老後の安心を確保するために、作成される方が多いです。

相続人の中に、将来が心配なお子様や障がいをもつ方がいる

⇒遺言書がない場合は、遺産について相続人の全員で話し合いが必要となります。
この話し合いは、相続人の方のご意向で決めるものです。
将来に心配があるお子様に対し、手厚く財産を残すための方法として、遺言を活用されてはいかがしょうか。

孫やお世話になった人など、相続人でない方に財産を渡したい方

⇒遺言書がない場合、遺産について相続人の全員で話し合いが必要となり、相続人以外に財産を渡すことはできません。
相続人以外に財産を渡すには遺言が必要となります。

再婚をして前妻との間にお子様がいらっしゃる方

⇒遺言書がない場合は、相続人の全員で話し合いが必要となりますが、
この場合の相続人は、現在の配偶者、現在の配偶者とのお子様、前妻との子で話し合いが必要となります。
今もお付き合いが有る場合、ない場合に関わらず、遺言書で財産の分け方を決めておけば話し合いが不要になります。
※遺留分に注意が必要です。

相続人の中に、認知症の方がいる場合

⇒仮にご自身の配偶者が認知症でもし自分が先に亡くなってしまうと、誰が面倒みるのか、その費用はどうするのか等の心配事があると思います。
遺言で万が一の際の希望を遺言として残しておくほうが予防対策となります。
また遺言書がない場合は、相続人の全員で話し合いが必要となります。
この話し合いは法律的には法律行為に該当しますが、認知症の方は、この法律行為をすることができない場合があります。
ではどうするのかというと、認知症の方の代わりに話し合いをしてくれる人が必要で、現在は成年後見制度を利用するしかありません。
制度を利用すると裁判所が関与するので、遺産分けまでだいぶ時間が掛かります。
遺言書がある場合は、話し合いが必要ありませんので、遺産分割を行うための成年後見制度の利用は不要です。
※遺留分に注意が必要です。

相続人がいない方

⇒相続人がいない場合、原則遺産は国に帰属します。
これを回避するためには、遺言書が必要となります。

家族の仲が良いからこそ、争いの種を残さないようにしたい方

⇒遺言書を残すことにより、争いとなる可能性を予防し、ご家族への最後のプレゼントにします。

お子様に対して、援助した金額が違う方(家を建てる際に一部の資金を出した等)

⇒遺言書がない場合は、相続人の全員で話し合いが必要となりますが、
お子様同士での不公平感をなくすために、遺言書を活用されてはいかかでしょうか。

7.遺言の執行ってなに?

遺言の執行とは、遺言書を作成した方がお亡くなりになった場合に、遺言書の内容を実現することをいいます。
遺言書の中で遺言執行者として指定された方は、

遺産の調査
財産目録の作成
金融機関での換金、名義変更及び解約手続き、
不動産の名義変更手続き等

複雑かつ多岐にわたる手続きを行う必要があります。

当事務所ではお客様のご希望に応じて次のようなサービスをご提供させていただいております。

①遺言執行者として指定されていたが、自分では手続きが出来ないので誰かに任せたい・・・・遺産承継業務
②遺言執行者をご家族にして将来自分が亡くなった場合に手続きの負担をさせたくない・・・・遺言書の作成からお手伝いさせていただき、遺言執行者に就任致します。

8.当事務所の遺言作成の流れについて

遺言は遺言書を書かれる方のお気持ちが一番大事です。
そのお気持ちをお伺いさせていただき、お客様にとって、最適な内容をご提案致します。
ご面談については難しく考えていただかなくで大丈夫です。
お客様には「こういうことがあったからこうしたいなぁ」「あの子は○○だから××のほうがいいかなぁ」等を仰っていただき、こちらがお客様の相続人の関係と財産内容を基に法律的なメリット、デメリットをご説明致します。
当事務所の司法書士は信託会社の社員として、多数の遺言信託案件に携わった実績がございます。
その経験を活かし、お客様にご納得をいただいた後に、下記のとおりお手続きを進めさせていただきます。
遺言を書く際には僭越ながら財産の内容をお伺いさせていただきますので、その財産を事前に整理する方法等も併せてご提案させていただきます。
遺言書はなにより作成される方のお気持ちが大切です。
お客様のお気持ちと作成する歩調を合わせることをお約束致します。

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※信託会社等の遺言信託と手続きの流れは同じです。